乙華麗様です!〜サイト10周年記念企画

面倒くさいからね。


10年4月カトマンドゥ・奈良一彦マスター


奈良一彦マスタープロフィール
奈良一彦(なら かずひこ)
57才男性
・役職 オーナーシェフ
・血液型 A型
・出身 弟子屈町



















外観 
 中学まで弟子屈、高校は釧路、大学は東京で法学部。弟子屈は大鵬の出身地だよ、と奈良一彦マスターは話し始めた。普段の対応などから、このようなインタビューを受けてくれるかどうか不安だった。受けてくれると決まったときにも、質問に答えてくれるのかとても不安だった。それこそ無愛想だと思っていたからなのだが。しかし、それは杞憂で、いい意味で期待を裏切られることになった。最初から、普通に答えてくださり、しかも思っていたとおり味のある方だということがわかったのだ。その雰囲気を十分に伝えることができるか不安なのだが、今まで以上に、この乙華麗様です!を読んで、修行場(今回はカトマンドゥ)に足を運んで確認していただけたら幸いだ。
 奈良一彦マスターは大学を卒業後、アルバイトを1年した。資金稼ぎだから、と。元々旅行に行くつもりでためていた。それで、その時は定職に就いてない。じゃ、旅行はなぜインド・ネパール?「青年は荒野を目指す。」と言って若者が海外に行くのが流行っていた。シベリア鉄道でヨーロッパに行くのが流行っていたが、同じことはしたくないと、下回りで行くことを考えていた。それで、とりあえずインドへの片道切符を買って、行くだけ行った。最初に着いたときは夜で、空港は裸電球しかなく、薄暗かった。全然わからなかったので、たまたまいた日本人の後をついていった。恐らくその人がいなかったら、きっと右往左往して危ないことになっていただろう。インド国内の旅行は、インド全土をバスを中心にして回った。その後、ネパールも行き、一時イギリスへも行った。イギリスはインドから往復した。全部で1年半いたのだが、そのうち1年以上はインド・ネパールに滞在した。ボンベイ(現在のムンバイ)で見ていた光景が、イギリスに行っても同じように感じた。それもそのはず、インドはイギリスの植民地だった時代があり、現在も英語が公用語の一つだ。Victoria Stationという名前の駅があったり、ロンドンで有名な赤い二階建てバスが走っていたりしたのだ。また、ネパールではトレッキングをしていた。インド・ネパールでの経験が、今の「カトマンドゥの奈良マスター」の礎になっていると思われる。海外は他にも台湾やタイなど数カ国に全部で4回行ってるくらいなので、旅行が好きなのだ。「金がないから、物価の安いところにしかいけないけどね。」(笑)カトマンドゥという名前をつけるくらいだから、さぞネパールに思い入れがあり、沢山の話を聞けるかと思えば、もの凄い思い入れがあるわけではないそうだ。(笑)

カトマンドゥスペシャル1
 カトマンドゥの名前の由来はネパールの首都。特に理由はなく、面倒くさいからね、と笑う。そのネーミングはインスピレーションで決めた。(笑)旅行した中でネパール・カトマンドゥが一番好きというわけではなく、それぞれの土地でいいところがあるだろう。この「面倒くさいからね。」は口癖なのだろうか?(笑)実はインタビューの間、結構な頻度で出てきたのだ。最初、タイトルは「カレーと音楽とカヌーとスキーとマラソンと」を考えていたのだが、奈良マスターの「面倒くさいからね。」という言葉が印象的で面白かったので、タイトルにまでなってしまった。そして、魔法のような「面倒くさいからね。」という言葉は、他の人が言うと、何それ!?と思われたり、相手の心理を逆なでする可能性があるが、奈良マスターの場合は、なんだか場の空気が和やかで緩やかになる気がする。スワヒリ語で言う「ポレポレ」というのが合っていそうな感じなのだ。そのマイペースさがまた魅力の一つだろう。そんなマスターに仏太は「B型みたいだね、あんたがさ。」と言われ、笑うしかなかった。(笑)

チキンとキノコのカリー1
チキンとキノコのカリー2  インドから帰ったら、数年の間、札幌で派遣社員などをしていた。また、職訓に行っていた時期もある。失業保険がもらえるから、と計算高い。(笑)その時に初めてスープカレーに出会っている。スープカレーはアジャンタ(札幌)の最初の頃を知っている。昔は七面鳥カレーっていうのが出ていた。(毎日ではないが。)そこで初めて今で言うスープカレーを食した。美味いなあと思った。その頃、インドでの話をしたいが、周りにそういうことが好きそうな人が当初見つからなかった。アジア・アフリカ研究会というものを見つけて、そこで話し合う人がいないかと思って参加してみた。すると、かつてのスリランカ狂我国のオーナー水谷さんに出会ったと。
 札幌を離れた後は、白滝村で、ヒマラヤファームという民宿をしていた。奥さんが料理をして、奈良マスターは酒飲みでお客さんの相手をしていた。(笑)95年に帯広平原大橋の近く(西16条北2丁目)に最初のカトマンドゥをオープンして5年くらいやっていた。00年くらい(だいたいそんなところで。笑)に今のところに移転した。本当は白滝村でやっていたように民宿をやりたくて、広いところに移転した。しかし、実際のところ民宿は事情があってやってない。ヒマラヤファームは今は名前を変えて知り合いがひっそりとやっていると。

チャイ  帯広に住む前は、実は豊頃にいたことがある。仕事でいたのだが、色々と大変だったようだ。ご両親のお仕事を手伝っていた。そんな時にカヌーに出会ったりもした。豊頃は渡り鳥が来るから、バードウオッチングにはいいよ、と笑うマスター。へえ、バードウオッチングするんですか?と思ったら、「俺はそんな趣味ないけど。」と一蹴。(笑)相変わらず飄々としていて、でも、それが嫌みでないのがいい。豊頃での仕事が終わったときには何をするか考えてなかった。
外観
  ふとスープカレーでもやるかな、と思い立った。インドでさんざん(そういうタイプのカレーを)食っていたからね、と。また、現在メニューにある、チャイラッシーも向こうで覚えたインド風だ。札幌風のスープカレーの作り方の基本は前出の水谷さんに教えてもらったが、味を全て教えてもらったわけではない。が、似ているのはやはり根底が同じだったり、スピリットが近いものがあるのだろう。そんな奈良マスターは、仕込み自体は1日かけてだいたい1ヶ月分くらいを作ってしまう。

 現在のメニューは基本は変わってないが、一人でできるようにしてある。日本人はエビ好きだからね、とエビを使ったカレーを出したこともあるのだが、種類が多いと面倒だから止めたという。「お客さんを悩ませるのも可哀想だからね。」と笑う。時々、そういう冗談が出て、最初に思っていたイメージと全然違うので吃驚するが、非常に人なつこい笑顔になるのが印象的だ。かと思えば、「エビを使うと、チキンで出しているスープとのバランスが崩れるからね。」と真剣な表情も見せたりする。

 他修行場に与えた影響や他修行場から与えられた影響はないか聞いてみた。カトマンドゥを始めた頃、ライオンハウスとナマステーは既にあり、それらを食しに行ったことはあると。特にライオンハウスは現地のそのものという感じで、カルダモンがホールでそのまま入っていたりとスパイシーで好きだったと。しかし、その後そのカルダモンがなくなったりしたことを考えると日本人の口には合わなくて止めたんだろうな、とも。インデアンは3年くらい前まで行っていたけど最近は行ってない。最初の半分くらいまでは美味いけど・・・と笑う。
ドア    中
 トイレも広くゆったりとできるが、全体がとても広い。元々は仏壇屋だったところを改装した。最初は、がらんと広い造りだったが、奥と手前に仕切りとなる壁を入れた。 内装は壁を自分で塗った。奥から塗っていったので、奥の方は下手くそ。だんだん上手くなっていってちょうど修行者(お客さん)に見えるところが上手くできたと。実際に壁を見るとその場所その場所で違う感じになっている。最後にやったのが階段の近くで、そのあたりは余って色が濃くなってしまった。(笑)
中
 厨房が奥過ぎないか、余計な心配をしたら、実は修行者が入ってきたら、チャイムが鳴るようになっている。それは仏壇店の時からあるものを残してある。利用できるものは利用している。不況の現在に参考になるやり方ではないだろうか。マスターがカトマンドゥを開いたときは既にバブルははじけていて経済は落ち目。しかし、スープカレーは上り調子の時だった。こだわる人達は、かけるところにはお金をかけているが、節約する人は徹底的にしている。仏太は経営のことは全然わからないが、単純な考えでは、儲けようと思ったら、収入を増やして支出を減らせばいいというのはわかる。そのバランスは難しいものだ。厨房が奥にあることに話を戻そう。マスターが奥にいて、食し終わった修行者がお金を払うのに「すみません!」などと呼びかけることになるが、その間マスターは表に出てなくて、実際奥の方にいることが多いのだ。余計な心配だが、食い逃げがないのか聞いてみた。「不思議なことにないんだよね。」と笑顔。「お金、この次持ってきます、と忘れた人はいたけどね。」とも。その人はしっかり次の時に持ってきたそうだ。

ストーブ 寸胴 薪
 ストーブはいいものを使っている。今、新品で買ったら40万くらいするよ。煙突が高い。断熱煙突でそれ自体が30cmで5千円くらいする。すすの掃除はそう頻繁にする必要がないのはいいけど。薪は只だからね、と笑う。自分で取ってくるそうだ。そして、その薪は乾燥している方がすすがつかないそうだ。ストーブが二つあるのは、寒いときにはこの広さだと辛いから。ストーブの上で時々スープを煮込んでいるときがある。特に冬はその火力を利用してやっている光景が見られる。

 また、カトマンドゥの入口を入ってすぐ目の前に卓球台があるので、なんまら目立ってわかるだろう。主に、卓球は奥さんがやっている。そして、その卓球台の下にカヌーがある。豊頃にいた頃に、カナディアンフォールディングをお子さん達と十勝川でやっていた。そのうち飽きて面白くなくなってしまった。そして、ロデオ系のカヤックに転向したのだ。しかし、それもだんだん飽きて(笑)去年(09年)は全然行ってないし、一昨年は1,2日しか行ってない。まあ、安全で水深が深いところという好条件な場所はあまりない。歴舟によく行ったけど、その年その年で変わっているので、いいときもあれば、そうじゃないときもあった。そして、いいところがあっても、車で行けるところは少ないのだ。カレー修行場に、カヌーや卓球台は珍しいというと、ないと広すぎると笑う。
 卓球台の近くに冷蔵庫があり、飲み物が入っている。その中にコーラがある。瓶コーラはこだわりがある人が多いのだが、奈良マスターは、単に出しやすいし、そんなに数が出るわけではないから、その方が無駄が少なくていい、と。ビールもそんなに出ない。マスター自身は普段、発泡酒、焼酎など安い酒を飲むと。

中
 スプーンフォークはノリタケのを使っている!凄い重厚感があると思ったらやはり!

チャイ  チャイ
 カレーやチャイの器は最初は真っ白のものだけだったが、そのうち柄が入ったものも使い出した。好みが現れているのだろう。なんとなく統一感がある。インドで買ったものも使っているがほとんどは帯広で買った。意図しているわけではなく、インスピレーションで選んだ。インド国旗はインドで買った。
中 中

中  表に面した大きな窓の近くにはオーディオ機器が所狭しと並べられている。ベースなど楽器もある。きっと奈良マスターは演奏しているんだろうなと思っていたら、やはりそうだった。40〜50歳代の人達でバンドを組み、ベースを担当していると。最近は飽きて面倒くさくなってやってない(笑)が、以前はライブもしていたことがある。「俺はただ遊んでるだけ。そういう気持ちはもうないよ。」とバンド活動には現在は消極的だ。ジャンルはカントリーブルースだったそうで、BGMや時々テレビで流しているビデオはそういった類だ。音楽はレゲエも好きで特にボブマーリーはよく聞いたと。
中
 今はスキーランニングにはまっている。 スキー(クロカン)は白滝村にいたときからやっている。10年以上前から大会にも出ている。以前はテレマークもしていて、白滝村では山中を歩き回ったりもしていた。それを20年ほどやっていたが、現在は主にクロカンだ。白滝湧別間は以前100kmのコースがあったのだが、台風で川が氾濫してダメになり現在は50kmのコースに短縮されていると残念そうに語る。2月3月は毎週のように大会があり、だいたい似たような顔ぶれになる。札幌、美瑛、湧別、そして、3月の頭には帯広で大会だ。帯広の大会は第1回から出ていてずっと連続で出続けている。そのトレーニングのために夏場はマラソンをしている。3年ほど前から大会(ロードレース)に出るようになった。ちなみに、クロカン用のスキーは2階に上がる階段の途中、踊り場に飾ってあるので見覚えのある人も多いだろう。
 2階は個室に分かれて、宿の造りにしてある。いつかやりたいと思っているが、奥さんはやる気ないと。(笑)
 現在は事情があり、奥さん、お子さん二人とも離れて暮らしているため、生活も自分でしている。普段の食事は、辛いものは好きだが、カレーは面倒くさいから、カレーではないものを食べている。(笑)修行場で出しているものは商品だから自分では食さないと徹底した姿勢。仕事人というか職人気質というか・・・と思っていたら、「前は食べていたけどね。」とあっさり。(笑)この飄々とした感じが、奈良マスターのいい雰囲気を醸し出している一つだろう。

昨年、タイ旅行に行ってお姉ちゃんに37才と言われたと満面の笑みの奈良マスター。(笑)まあ、男は40過ぎたら年はわからん、というのが持論のようだ。(笑)
今後の目標は?
好きなことをやって生きていく。程々にね。(笑) 今年でもらう権利がついた年金は60才からもらうけど、それだけでは生活できないからね。年金で生活するようなことを最初おっしゃっているから、美味しいカレーをしばらく続けて欲しいと要望した。すると、笑って、生活するためには、作るの抜きってわけにはいかないと。やらざるを得ないそうだ。(笑)美味しいカレーを食せるのは嬉しい。全然面倒くさいことではない。(笑)でも、今後もいい意味で面倒くさそうに、美味しいカレーを作っていただきたい





参考サイト・ブログ
ノリタケ食器の公式サイト
Wikipediaのボブマーリーの項





修行場データ
カトマンドゥ
帯広市西24条南2丁目1-13
0155-37-6072
12:00-15:00, 17:00-20:30
日曜、月曜定休
修行場・十勝「カトマンドゥ」参照。)





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09年7月WAMUW・根本隆志シェフ
09年8月Shambhara天竺・中山一郎マスター
09年9月Easy Diner・立石貴裕店長
09年10月ふじや・加藤美華オーナー
09年11月インデアン音更店・遠藤和恵さん
09年12月タイランド・相澤和正オーナー
10年1月ろそろそ・野左掛兄弟
10年2月SAMA帯広店・河村哲裕オーナー
10年3月そん徳・小内勝敏マスター
10年4月カトマンドゥ・奈良一彦マスター
10年5月ピア21しほろ・式見貴光シェフ
10年6月潮華・早坂信美マスター
11年2月ナマステー・木幡夫妻
11年12月カレーリーフ・相馬鎮徹オーナー

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