いつもの光景(カトマンドゥ)

9月に入ってもまだ暑い日が続いている。
燦々と照りつける太陽に、
ちょっと遠慮しろよと言いたくなる気持ちを抑えながら、
じんわりと汗をかきながら仏太は目的地へ向かった。

外観
いつもと変わらない雰囲気に惹かれて、
吸い込まれるように入っていった。
暑さでイライラしていたが、
落ち着くこの雰囲気を感じて、
苛立ちが徐々に消えていくのがわかった。
仏太はカトマンドゥにやってきた。

ソファ
いつもと同じだと思っていた風景は外観で、
中は変化があること、一目瞭然だった。
それは、久しぶりに会ったあいつは
見た目全然変わってないのに、
人間的に成長して、
磨かれてますます素敵になっていた、
っていうのに似ている。
以前はこんなソファなかったな
ぼそっと呟いた仏太は、ふと我に返り、でも、ソファには座らず、
南国の植物と思われるものが乗っているテーブル席に着いた。

カトマンドゥスペシャル1
新たにソファが組み込まれても、
カトマンドゥの本来持っている姿や雰囲気は色褪せることなく、
いやむしろその色を濃く際立たせて存在している。
いつも通りの雰囲気に安心したのか、
自分がソファで驚きながらも、
ときめいてないことに寂しさを感じたのか、
仏太の注文はいつもと変わらないカトマンドゥスペシャルだ。

カトマンドゥスペシャル2
色とりどりの野菜たちが放つオーラはその本来の色に似ていて、
ゴロンと入っているチキンの華やかさを覆い隠すほどだ。
ブロッコリー、ピーマンの緑が優しく、ナスの紫が眩しい。
人参とは違うスープのオレンジは、
写真を撮っている時間が惜しく
早く飲みたい衝動にかられる、情熱の色だ。
夢中で食して、スポーツが終わった後のような爽やかな汗が頭から
汗腺の開いた皮膚を伝って落ちていくことを実感して、幸せな気持ちとなり、
脳内エンドルフィンの分泌によって、更に多幸感が生まれる。

チャイ
余韻に浸りながら、ふと気づくと目の前には
チャイの入った陶器のカップが
慎ましく、かつ、存在感を出して、置かれていた。
食後にチャイを飲むのもここではちょっとした幸せで、
いつもの光景なのだ。
変化も大切だが、いつもと同じということも大切。
そして、意外と大変なことだったりもする。

間もなく、夏から秋へと、変化が来るだろう。
いつもの夏を楽しみつつ、来るべき変化を待とう。

I went to Kathmandu to eat an ordinary soupcurry. I ordered Kathmandu special and a cup of chai. It’s my routine work. I was very satisfied.

カトマンドゥ
帯広市西24条南2丁目1-13
0155-37-6072
12:00-15:00, 17:00-20:30 (土11:30-19:30)
日曜、月曜定休
参考:乙華麗様です!第10回